40歳〜70歳までの公的医療保険加入者全員を対象とした保健制度
日本では生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常症など)が増え、その治療や入院にかかる医療費がどんどん増えていました。特に 40~74歳の働き世代の生活習慣病の増加 が大きな課題でした。
生活習慣病は、肥満、運動不足、食生活の乱れなどが原因となるため、治療より予防のほうが効果も費用も少なくて済むことが明らかになっていました。そこで「病気になってから医療にお金を使うより、病気になる前に生活改善を支援するほうが社会全体の負担を減らせる」働き世代から“未病の段階”で生活習慣病を減らす必要があるとなりました。
こうした背景をふまえ、2008年から特定健診・特定保健指導が全国の医療保険者(協会けんぽ、市町村国保、健保組合など)に義務化されました。
「医療費の増加を食い止めるために、生活習慣病になる前の段階で生活改善をサポートする仕組みとして作られた」それが特定保健指導で、世界的にも珍しい国家レベルの生活習慣病予防プログラムです。
日本は世界でもトップレベルの高齢社会で、年齢が上がると、病気や通院・入院が増えるため、医療費も大きくなります。75歳以上の方の医療費は、若い世代の4〜5倍に達することもあります。糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病は、治療が長期間続くことが多いため、医療費が膨らみやすい病気です。働き世代の生活習慣病が増えていることも、大きな要因です。
医療費は「保険料+税金+自己負担」で支えられています。高齢者は1割負担の方が多いため、残りの大部分を現役世代の保険料や国の財源で補っています。医療費が増えると、若い世代の負担も大きくなるという仕組みです。
国や自治体の財政を圧迫する。皆が払う保険料が上がりやすくなる。社会保障制度が持続しにくくなる。こうした理由から、医療費の増加をいかに抑えるかが国全体の大きな課題になっています。
病気になってから治療するより、病気になる前に生活習慣を整えるほうが、医療費も健康被害も少なくて済むため、特定健診や特定保健指導が導入されました。



