人間ドック健診施設機能評価

総括

“受診者を断らない”施設の方針があり、離島や高齢者、障害者等の様々な受診者の受け入れ態勢をえ、地域における予防医療に寄与している。また、人間ドック健診施設として、質の向上や受診者の利便性を高める等の取り組みが積極的に行われている。
受診者全員への結果説明実施や紹介状の発行等、受診当日の各種の取り組みにより、再検査や精密検査への意識向上を図っていることは高く評価できる。
総合的見地から、人間ドック健診施設機能評価の認定(更新) に値すると判断する。

領域別評価

1.理念達成に向けた組織運営

理念と基本方針は明文化され、法人の理事会において検討する仕組みがある。パンフレットやホームページへの掲載や施設内掲示により、内外に周知している。受診者の権利及び義務は明文化し、ホームページへの掲載や施設内掲示により周知している。
外部認証の情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を取得しており、個人情報保護方針や情報開示について明文化し、内外へ周知している。
運営規程類は法人全体で共通しており、見直しや届出は適切である。また、職員はグループウェアで閲覧することができる。職業倫理に関しては、ハラスメント防止規程や内部通報規程が作成されており、相談窓口や委員会等の組織体制が明確である。
中長期計画・年度事業計画・予算書は、各部署で検討して作成されている。事業及び収支の報告は、運営会議や全体ミーティングで周知されているが、今後は記録の整備も望まれる。組織体制については、法人全体及び健診部門における組織図が明確である。
職員数については適切な人員が配置されている。専門資格については、人間ドック専門医や人間ドック健診情報管理指導士、超音波検査士、検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師を複数名配置している。
教育体制では、全職員を対象とした教育計画が病院の委員会によって作成され、適切に実施されている。職種毎の教育体制では、医師以外の職種については、年間教育計画及び実施記録があり、不参加者への対応も行われている。
医療安全管理委員会及び感染管理委員会は、病院とは別に設置し、マニュアルを作成している。医療安全管理委員会では、医療事故やインシデントを報告する体制が明確で、再発防止に向けた取り組みが行われているが、今後は、評価する仕組みの構築についても、検討されたい。感染管理においては、年2回の施設内ラウンドや標準予防策の徹底、また、感染性廃棄物処理が適切に実施されている。
安全衛生管理体制は、産業医や衛生管理者が選任されており、衛生委員会が開催されている。職員の健康診断や電離放射線検診、入職時健診の肝炎検査等を実施しており、健康管理の体制は適切である。職場環境における労働時間数や有給休暇の取得状況の把握は適切に行われている。
ISMSを取得しており、マニュアルの作成やトラブル発生時の対応等の情報システムにおける運用・管理は適切に行われているが、紙媒体における委託処理の手順書作成が望まれる。またサーバー室の入退室管理記録については、さらなる管理徹底を望む。
薬剤や診療材料、委託業務の管理については、担当部署や手順が明確であり、適切に行われている。
高齢者や障害者等、配慮が必要な受診者への対応として、施設内はバリアフリーで整備されているが、手順書があるとなおよい。障害者用の個室ロッカーが用意されていることは評価できる。外国人受診者への対応についても同様に、手順書の作成を望む。

2.受診者中心の良質な健診の実践

企業や保険者との契約は、担当が明確で、適切に締結や更新が行われている。予約及び受付、収受、会計処理の業務については、マニュアルを作成し、必要に応じた改定が行われている。責任者と担当者は明確で、適切に業務が行われている。実績や収支、未収金の状況の報告は運営会議等で行われている。
日本人間ドック学会が提示する基本検査項目が実施されている。
受診環境については、受付時間を午前3部制に加えて遠方の受診者のために午後枠も設けており受診しやすくするための配慮が見られる。レディースエリアでは、すべて女性医師と女性技師が配置されてる。検査の当日変更は、本院で行う検査以外は可能である。スマートフォンによる誘導支援システムがあり、声を出さないプライバシーへの配慮をしながら待ち時間が少ない検査室へ案内する仕組みが構築されていることは評価したい。
本院で行う検査は一般の患者と動線が交わるが、専用の予約枠設定等、配慮がなされている。また、コーディネーターが各階に配置されている。
受診に関する事前の情報提供体制や受診者からの問い合わせへの対応方法は、確立されている。事前の送付書類やホームページの内容なども適切である。受診者の質問や相談に対応するマニュアルやFAQも作成されている。同意書への説明医の署名方法については改善を望む。
救急カートは各階に設置してあり、施錠管理されている。
健診当日の医療面接で得られた情報は、健診システム内に「問診メモ」として入力して多職種に情報共有しており適切である。
精度管理体制は、検体検査の業務マニュアルとパニック値の一覧表が作成されている。パニック値は検査室からコーディネーターに連絡が行き、担当医に伝わった後、受診者に指導が入る仕組みとなっている。内部精度管理の実施と外部精度管理サーベイへの参加状況や結果については健診検査適正化委員会で管理している。
人間ドック受診者全員に対して健診当日に医師による結果説明を行っていることは評価できる。当日都合があり早く帰らなくてはならない受診者に対しては、早めに結果説明を行うことで対応していて、後日説明は行っていない。当日の仮結果から画像を含むドック基本検査項目の結果を説明している。内視鏡検査は、内視鏡室で担当医が説明を行い、健診システムに記録している。
健診結果に基づく指導は、保健師・管理栄養士・健康運動指導士が関与しており、スタッフは十分に確保されている。保健指導マニュアルに基づき受診者全員に対して100%実施されていることは評価できる。異常がない受診者に対しても現在の生活を続けるように継続支援を行っている。教育プログラムも作成されていて、4月に1週間、その他にも年間4~5回の勉強会を開催している。参加できなかったスタッフは使用したスライドを見て事後学習を行っている。また、中途採用者に対しては、入職時オリエンテーションを行っておりスタッフの教育体制は適切である。

3.継続的な質改善の取り組み

受診者の要望を把握する体制については、ご意見箱は2階の総合受付と男女の更衣室内、3階受付に設置されている。月に4~5件のご意見が寄せられていて、毎日収集されている。通常は寄せられたご意見に関して業務改善委員会で検討を行って、運営委員会で幹部に報告しスタッフ全員に周知が行われている。緊急性のあるご意見に関しては、課長・部長に報告して必要があれば院長判断で対応している。検討内容については2階の更衣室に掲示し、受診者も閲覧可能である。
フォローアップ体制は、保健師及びメディカルクラークが管理し、マニュアルが作成されている。要精検率は適切で、精検受診率は6割超である。生活習慣病については本院へは紹介せずに地域の医療機関を紹介している。生活習慣病支援室への紹介も行われている。
健診結果の分析体制については、日本人間ドック学会等において発表が行われているが、今後は、年報作成や論文投稿等への取り組みにも期待する。
施設独自の精度管理や精密検査指示の状況等、健診における分析結果は運営会議で報告がされているが、今後は、受診者への情報提供についても検討が望まれる。健康情報としては、SNSの活用やポスター掲示、リーフレット提供等が行われている。
保険者や企業の要望については、業務改善委員会で対応を検討する仕組みが構築されているが、今後のさらなる積極的な取り組みに期待する。
業務改善の体制としては、委員会を設置し、横断的な検討が実施されている。また、個人においても業務改善への取り組みが人事考課の評価項目として設定されている。
前回の指摘事項については、それぞれの内容に対し改善が行われている。

このロゴマークは、人間ドック・健診施設機能評価を受審され、約180項目において平均以上の評価を得られた施設のみが掲示することのできるものです